メーカーから店頭に到着した自転車は7部組という状態で到着します。
7部組とは主にハンドルとホイール、サドル、ペダルが外れた状態になります。7部組をしている工場にてある程度組付けられているので、外れているハンドル、ホイール、サドル、ペダルを取り付けて、ブレーキ調整、変速調整して完成となりますが、当店ではその状態で簡易的に組み上げられた自転車をお客様にお渡しすることはしません。理由は選びに選び抜いたその自転車をより満足して乗って頂きたいからです。
個人的には物を作り上げるという事はジャンルを問わず同じだと思います。例えば好きな食べ物で考えてください。A店もB店も作られた料理の見た目は同じ、価格も同じの場合どちらを選びますか?食べ比べてA店よりもB店の方が香りも触感も良い場合、好きなお店はB店!と判断すると思います。自転車の場合はどうでしょうか。同じ自転車がA店とB店である場合。7部組から簡易的に組み上げた自転車と、全て部品を取り外し確認と調整等をした自転車。料理の場合でB店を選んだ理由は香りと触感。B店は調理方法が違うんです。自転車の場合も同じだと思います。各部品の性能を完全に機能する状態にしているかいないかの違いです。
当店では7部組の状態から各部品を取り外し、全ての部品の確認と調整をし直します。
まず変速やブレーキを操作した時のスムーズさが違います。その理由はブレーキインナーケーブル、シフトインナーケーブルに対しスムーズに動いてもらう為に、各インナーケーブルに対して専用のケーブルグリスを塗り付けます。また各インナーケーブルを覆っている各アウターケーブルの長さも最適な長さに調整します。アウターケーブルの中をインナーケーブルが通っているので、アウターケーブルが長すぎるとその中を通っているインナーケーブルがその長さ分だけ抵抗が発生し、その分だけブレーキや変速をする際のインナーケーブルを引く力が必要となります。また短すぎるとハンドルからフレームに取り付ける迄の͡アウターケーブル及びインナーケーブルの弧を描くラインが急な角度になる為、更に引く力が必要となり変速やブレーキに不具合が生じる事があります。またブレーキ本体や変速機本体にもスムーズに機能してもらいたいので、可動部分に適切なグリスやオイルを塗っています。それにより本来持つべき機能が発揮します。※インナーケーブルの表面処理によりケーブルグリスを塗らない事があります
フレーム本体(内部)に対しても処置をしています。例えばフレーム本体の素材がクロモリをしている場合、クロモリという素材が錆を発生してしまう為、それを極力防ぐ為にフレームやフロントフォーク内部にグリスを塗ります。それにより錆の発生を遅らせる事が出来ます。ボトムブラケットの部分についてはクランクを回すと異音が発生する事があるのでそれを防ぐ為にグリスを塗っています。尚、フレーム内部に水が浸入した場合、水を抜かす為の穴がフレームにあります。グリスを塗りすぎてしまうと穴を塞ぎ水が抜けなくなるので、それを考慮した上で作業をしています。
自転車にはボルトが多く使用されています。例えばハンドルを固定しているステムには、ハンドルを固定する為にボルトを使用しています。ボトルゲージを取り付けるためのボルト、ブレーキレバー本体のアジャストボルト、ディレーラー本体のアジャストボルト。ボルトを使用している全て取り外し、ボルトのネジ山部分にはグリスを塗ります。ボルトを取り外す事により稀にボルトが装着しているネジ穴の処理がよくない事が場合があります。その際はタップを当てきちんとした成型にしています。尚、ボルト全てにグリスを塗っている訳ではありません。ボルトの使用箇所によりグリスではなく緩み止めを塗っている箇所もありますのでその場合は緩み止めを塗ります。
ホイールに関してはタイヤとチューブを取り外し、タイヤとチューブ、ホイールの状態を見ます。ホイールがセンターになっているか、リムテープがきちんとした位置に装着されているか、チューブが捻じれて入っていないか、異物が入っていないか等。この作業も取り外さないと解らない事です。全て確認後、ホイールにチューブとタイヤを装着するのですが、バルブの位置とタイヤのロゴを合わせて綺麗に取り付けます。
全ての作業は7部組から各部品を組み上げた場合は解らない事です。
組み上げ迄にお時間を頂く場合があります。ご了承ください。